ブロックチェーンから始まるダイヤモンド

ビットコインなどの仮想通貨はとても有名ですが、そのもとのしくみはブロックチェーン技術からきています。ブロックチェーンは主に金融の側面を変化させてきましたが、これからは他の仕組みと結びつき、さらに産業界や個人生活を変化させることになりそうです。
下記に、ブロックチェーンについての現在と未来、そして生活への浸透や、社会への貢献について簡単にご紹介致します

◆ブロックチェーン1.0
最初の技術を「ブロックチェーン1.0」と呼び、世界ではじめて利用されたブロックチェーン技術は、あの有名な仮想通貨ビットコインです。
すでに仮想通貨は2017年現在では700種類を超えていて、特に資金調達ではトークンと言う仮想通貨が話題となり、短時間で大規模な資金調達が可能になりました。
他にも、このブロックチェーン技術を組み合わせた「フィンテック」という金融機能の構築は現在の“お金”の在り方を大きく変えた事実と言えます。

◆ブロックチェーン2.0
最近の技術では、さらにブロックチェーンが進化し、まったく新しいステージに入りました。これを「ブロックチェーン2.0」と呼び、今までの仮想通貨を載せる機能とは全く異なるブロックチェーンの仕組みとなります。主だった技術の進展は次のようなものです。

①.スマートコントラクト(※1)を載せる技法
スマートコントラクトをブロックチェーンに組み込ませることで、取引できる資産を仮想通貨だけではなく、法定通貨、株式、債券、不動産といったものまで押し上げることができ、取引に付随する複雑な処理を自動的に契約し、効率的に処理できるようになります。
より信頼できるテータベースが共有されることにより、個人・企業・国が横にオープンに結びつき、一層利便性が高まっていくという構想です。
ブロックチェーンのメリットが資産の権利の移転を記録して管理することに適している点を利用したものと言え、あらゆる経済活動の裏にある「お金」のかたちが変わり、その流れもかわったために、信用・リスクの捉え方とそれを支える担いても変わってくる可能性があります。
➣※1・・・スマートコントラクトの技術とは、当事者間の私的契約をプログラム化して、人を介さずに自動的に執行する手続きを言いますが、経済学でいうところの契約と法律で使われる契約とは定義にずれがあります。
たとえば自動販売機にお金を入れた場合、売買契約なしで商品が入手できま
すが、これは機械によって自動的に契約が実行された暗黙の契約といえます。

②.IoT(※2)と組む技術
Iotと組むことで、ブロックチェーンの情報が、ようやく現実世界のサービスの中で生かされることになります。

たとえば宿泊施設ドアの前でスマートコントラクトが執行されて、デポジットが引き落とされ部屋の鍵が開く。。と言う風です。信頼できる情報にもとづいて安全な権利を引き渡すことはブロックチェーンの得意とするとことであるわけです。

さらに応用が進むとデバイスが自律的にシステムを管理し、人の管理が不要となる世界を実現する。。たとえばコインランドリーに設置された洗濯機が洗剤の不足を予測して自動的に注文をしたり、故障した場合は保険契約を確認してメンテンスを依頼するなどです。
➣※2・・・IotとはInternet of Thingsの略称で、すべとの物・サービスがインターネットで接続されてネットワーク化し、自動操作、制御などさまざまなビジネスが可能になる仕組みのこと。

③.DAOとDAC(分散化自動化組織と自動化社会)
このふたつのキーワードは今後の社会の変化の中でも重要ワードになると言われています。
➣ 管理者や意思決定者がいない状態でも、自律的に組織が活動し続ける組織のことを
言い、もともと仮想通貨の運営体制から得たヒントを活用したようです。
たとえば、法定通貨であれば政府や中央銀行などの意思決定機関が政変や戦争といった非常事態になった時に、ハイパーインフレによる通貨価値の大幅な毀損リスクの可能性がありますが、仮想通貨は一部のノードが攻撃されても、その他のノードが機能していれば、結果的に価値は保全されることになります。

◆ダイヤモンドとブロックチェーンの出会い
ブロックチェーン技術は金融取引以外にも、様々な事業に応用できることを実証しました。
エバーレッジャー社(英)はhttps://www.everledger.io/ は、初期段階でのブロックチェーン1.0の方法によってダイヤモンド取引のためのプラットフォームを提供する事業を始め、それを成功させました。

創業者のケンプ氏はブロックチェーンの技術を、通貨を生む出す技術を切りはなすことを考えつき研究開発したのです。
➣ダイヤモンドの価値は、その重量や透明度といった物理的な価値もさることながら、所有履歴が重要であり、いつ採掘され、どのように加工され、誰に所有されてきたものなのか等のダイヤ固有の時間的流れと価値が重要であり、それを管理することに着眼したのです。

副次的に、この管理によって、途中で犯罪に使われていないか、密輸ではないか等がわかり、資金洗浄やテロ資金などの不正取引にもつながります。
***
こういったブロックチェーンのITテクノロジーは、これまでの不透明なダイヤモンド市場を透明性の高いものに変えることに成功し、経済的、社会的な意義ははかりしれないとえます。 *** ^^

◆ Society5.0 ➣ 超スマート社会の実現
日本政府は、2017/6月に≪未来投資戦略2017≫の中で、このSociety5.0を示しました。
内容から、ブロックチェーン技術は、国や民間企業が提供するサービスにとどまらず社会のインフラ等の社会構造の改善にも繋がることが期待されています。

たとえば、次表でもわかるように日本の税金の徴収にかかる行政コストの効率は、先進国の中で最も低くなっています。

出所:OECD ’Government at a Glance 2015を加筆修正

これからはブロックチェーン2.0を使うことで、税金の納税管理なども行えるようになることのほか、下記のような様々な産業エリアにも広がり影響を与えることになるでしょう。

(出典:ブロックチェーンの未来69頁を 一部加筆修正)

現在のように財とサービスのバーチャル化、ネットワーク化が進んだ社会において、取引履歴情報の管理、共有といった有形・無形の価値を写し取る技術として、ブロックチェーン技術があります。そして将来は、この情報技術をまとめて、IoT、ビッグデータ分析と人口知能を活用する重要なシステムとして使われる方向です。

*** *** ***
一方、マネーの動きですが、世界的にも重厚長大産業のような設備を必要としないデジタル関連産業が増えたり、新興国への労働力の移転等で内部資金が溜まるとともに、低金利の影響で投資せず貯蓄が増え続け、現物マネーは世界的に膨らんできています。
このような中、仮想通貨自体は通貨の機能がないものの、取引履歴を追えない現金に比べると、マネーロンダリングの防止にも役に立つ優位さもあり、今後、各中央銀行はこれらのブロックチェーンにおける仮想通貨を利用して、マネーを安定させる方法を編み出すかもしれません。

そして・・・、「生きるダイヤモンド」と言われている絶命しそうな生物(像、サイ、ワニなど)が、密漁なのかどうか等の履歴管理にもブロックチェーンが応用される方向であり、社会的な多くの課題が解決できることが期待されています。

【参考文献】
ブロックチェーンの未来(日本経済新聞出版社)
ビットコインとブロックチェーンの歴史・しくみ・未来(SB Creative出版)
マネー誇張 踊らぬ経済 (日経新聞11/14記事 1、7面)