◇◆◇ Cyber空間からの情報資産 ◇◆◇

海外が私たちの身近な生活圏になったことにより、相続財産は日本だけではなく、世界にも点在するようになりました。(国際相続・贈与がざっくりわかる:海をわたる次世代資産より) そして、これからはCyber空間からも情報資産の相続がやってくる兆しがあります。

このBlogでは、1.~4.まではCyber空間を取り巻く現実世界を記述しましたが、
5.では ‘Cyber空間’ってほんとはないのじゃないかな?という筆者の素朴な考え方を書いてます。

~★ 情報空間と実世界の相互作用 ★~

デジタル経済は成長局面から深化をし始めています。ひとつには、情報は利益だけではなく、共感を含めたサスティナビリティーに向けて発信されはじめているからです。
もともとデジタル経済における企業は、在庫をもたずにデータを複製するというフリー原価により利益をあげることに成功し、個人にあってはSNSの普及により国家へさえも影響力を持つようになりました。

同時に、企業・個人のデータの蓄積はデジタル経済の基盤ともなり、これらの蓄積されたデータは21世紀の石油資源「New Oil」と言われるようになりました。しばしばこの「New Oil」は貨幣に替わる価値をもってきています。デジタル経済における新たな通貨の誕生です。特にプラットフォームには多くの「NewOil」が溢れだしているのです。

 ~ 情報の広がりはCyber空間が基盤~
このようなデジタル化の基盤となっているのが、「Cyber空間」と呼ばれる領域ですが、
Cyber空間は経済だけにとどまらず、国家の垣根を軽々と越えて「民主主義」を広げる効果を果たしました。

例えば、先月小池百合子東京都知事とヒカキンはユーチューブを使って、“STAY HOME”を若い世代へ呼びかけて、非常事態宣言を浸透させています。

Cyber空間は、 “情報空間” と “実世界” の相互作用により、人、物質、飛行機などの交通機関を制御するといった物理空間における社会に作用し経済、産業、生活、軍事のあらゆる社会生活に影響をすることになりました。

1. Cyber空間を構成する2つの要素

それでは、Cyber空間とはいったいなんだろう?という疑問を先に解決しないといけませんが、Cyber空間とは、【A .物理的な機器】と【B.アクセスされた情報】という2つの要素によって構成されている領域です。

【A.物理的な機器】とは、人々が目で認識できるPC、通信ネットワークで接続されたサーバーや、ルータなどがあり、これらは互いに通信ができるようなルール「プロトコル」が決められており、通信の開始と終了を制御しています。これら通信機器から情報を経由し、伝達される情報はプロトコルに従ってデジタル化された信号になって海や山や地球をめぐります。

信号を送るインフラは、地上の通信インフラと海底ケーブルがあるのですが、主要インフラは情報の配信効率性のために大都市の中心部にあります。日本でもCyber空間のインフラや通信企業は大手町周辺に集中して整備され、インターネット通信トラフィックの約90%は大手町に集中すると言われています。例えば日比谷地下にある通信ケーブルの洞道は290キロにも及ぶ地下迷宮になっています。

~ そして大陸と大陸の通信は海底ケーブルが結んでいる! ~
海底ケーブルもCyber空間の重要なインフラになっており、2019年段階では地球上には約120万キロにのぼる約378の海底ケーブルが存在し、2021年までにはさらに50以上のプロジェクトが計画がされているのです!
Googleはスペインと米国を結ぶ「マレア」、ニューヨークとデンマークとアイルランドを結ぶ「Hevfrue(人魚)」、香港とグアムを結ぶ「HK-G」などの海底ケーブルの完成を現在も推し進めています。

~海底ケーブル地図~ (出典:https://www.submarinecablemap.com/

そして、もうひとつのCyber空間を構成する要素である【B.アクセスされた情報】についてです。
情報を通信する時に、情報の送り側と受取り側は情報を暗号化する際の一定の規則「アルゴリズム」を共有することになりますが、この暗号鍵はアクセスされることで、はじめて現実化された情報になると言えます。つまり両者が暗号鍵をアクセスしなければ資産として顕在化しないのです。(5.参照)

*Cyber空間とはこのように “A” と “B” の2つの要素で成り立っていますが、Cyber空間とは一般的に B を指して議論される事が多いようです。

2. プラットフォームという市場の出現 ‼

Cyber空間の影響は、「国家」「企業」「個人」の関係に変化をおこしました。
通信情報技術が個人にも簡単に操作できるようになると、Cyber空間で個人は企業と同じように商売ができる市場が整いデータも増え、企業と個人のデータ同士がプラットフォームで繋がることにより、個人・企業と国家との関係がフラット化し、三者間で情報が共有される場所が提供されることになります。

プラットフォームは、ピラミッド型ではなく、また一方通行ではないこれらのプレイヤーで構成されてフラット流通経路が生まれました。そして生産者と消費者という一方通行のバリューチェーンのビジネスモデルが崩れ、
“生産者が消費者になり、消費者も生産者になるという相互交流となります。”
こうして参加者が増えて価値の交換が行われると、プラットホームでは今までのパイプラインモデルとは違うビジネスモデルが出現したのです。

そして、企業と個人から放出される情報にアクセスし変換されたデータは、プラットフォームで共有され、無償で交換されたり売買されるようになったのです。

~ “プラットフォーム” と ”フラット化された三者” の力関係 ~

特にCyber空間を通じた情報の拡散は世論を支配する有効な手段となり、
世論を支配することはその国のシステムに働きかける能力を持つことに繋がります。
Cyber空間における個人は、国家の経済的なインフラとまで言われるようになり、個人と国家は同じ力を持ちうる脅威さえあります。国家>企業>個人という階層的な不等式は崩れ、国家は個人からもたらされる経済的利益によって、Cyber空間の有用性を認めざるを得ないことになります。

*この構造の変化は、21世紀になって起こりましたので、歴史的にも大きな構造変化がはじまっていると言えます!

3. 経済競争力の源泉は情報データにある

現代社会では、データを支配する者が経済活動では重要であり、それによって他社より優位性をもつことができます。実際に、Cyber空間を生み出した情報通信技術は、金融業界と親和性が高く、証券業界では新たにサービスを生み、インターネット利用が進んだのです。日本では1996年に大和証券がインターネットを利用したオンライン取引、1997年に住友銀行がネットバンキングを開始し、Cyber空間での経済活動は物理的な物のやりとりではなく、データのやりとりが中心となりデータがCyber空間での経済を支配する要因となっているのです。

~ データは相互交換され、貨幣に替わる ~
さらに、産業においては「トランスフォーメーション」が本格化してきており、5GやAI、グロックチェーンを利用したデジタル化した分散型ビジネスンモデルは、金融、医療、教育などに活用され、プラットフォームでは、さまざまな人や企業が場を利用し財やサービスを提供する仕組みが出来上がっています。

例えば参加者はスマホの位置情報とGPSをセットで売却したり、交換したりでき、事業者はこれで市場調査などにも利用することが可能になっています。最近では、サイトに意見を投稿したり、GPS情報を提供することによって代わりににイーサリアム(暗号通貨)と取引できるトークンを、報酬としてゲットできる仕組みもできています。また、自分の医療情報を売り出して、他のデータを取得したりというように国家の管轄外で “データが通貨のように交換される事実” が現出しているのです。

しかし、国家はプラットフォームで力をもつGAFAの台頭等により、現代社会の経済機能が「Cyber空間」なしでは成り立たない状況であることを認めざるを得なくなっています。

*デジタル経済では、このようなNew Oilや暗号通貨の出現により、その影響は法定通貨にまでおよぶことになり通貨は歴史的変貌を遂げることになるかもしれません!

4. サイバー空間がもたらす問題

上記のようにCyber空間は、情報空間と実世界の相互作用によって、経済、産業、生活、軍事などの社会のあらゆる活動に不可欠になりました。しかし、このCyber空間は経済的影響だけではなく、次のようないくつもの課題をかかえることになったのです。

 *データ保護
 *知的財産権の評価
 *国家主権にかかわる=国際法
 *徴税できる国=国際課税
 *ビジネス環境
 *安全保障と軍事力   など多くの課題がクリアできていません。

~ ★Cyber空間には国境はあるの? ~ 国際法の問題
Cyber空間に国境を引くこころみが国際会議でなされています。
実際に、PCやネットワーク機器は物理的な実体があるので、所有を明確にでき国境で区切ることができますが、情報はデジタル化した信号であり国境に束縛されないのです。従って国家主権は基本的には地理的な制約を受けると考えていいでしょう。そして情報がPCやサーバー、ネットワーク機器と異なる点は、情報は編集、コピー、転送、消去が簡単にできることに加えて、情報の存在位置の特定は難しく、どの経路を通って通信したかの全てを知る由は存在していません。

日本では、自国領土内にある利用機器は、国家主権のもとで統治の対象とされ、データ等も刑事訴訟法によって差し押さえることが可能です。しかしあくまで国内にあるものだけです。

ではデジタル情報は国家が支配できるのでしょうか。日本では憲法21条で通信の秘密を厳格に規定していますが、犯罪時など場合によってはPC内に格納されているデータは、離れた場所であっても国内であれば刑事訴訟法で差し押さえが可能となっていますが、国外のサーバーに格納しているデータは差し押さえすることができなくなっています。現在国境は物理的物体に紐づけるしか分けられないのです。

今のところcyber空間に国際法を適用したり、ある国が国家主権を発動することはできませんが、かと言ってCyber空間が宇宙と同じように共通領域であるという定義も存在していません。昨今、サイバー上に国を作り ”あえて国籍をもたないと人々”  いう考え方もあるようですが、そうは言っても人や拠点は物理的にどこかに存在している訳で、公共性の恩恵の上に社会生活を営むのことになるため、仮にサイバー国の人であっても少なくても課税は免れず、犯罪は属人主義になるのではないでしょうか。

~ ★なぜCyber空間を攻撃をするの? ~ 軍事力と犯罪の問題
Cyber空間を利用した犯罪には不正アクセス、通信の違法傍受、システム妨害、著作権違反などありますが、犯罪者の目的は様々です。Cyber空間はNew Oilが噴出していますから、競合者のサービスを妨害し停止させることで信用失墜させたり、政治的に優位性確立をねらったりと、Cyber空間をなんらかで支配することで、競合よりもより優位な立場を確立できるという点にあります。
また、ビットコインの採掘やデータの搾取により経済的な利益を獲得する事です。このように多くのデータを支配することは優位性を確保する上で重要な要素となり、Cyber空間は宝の山と言えるのでしょう。

~ ★企業の国際課税が変わる? ~ 国際課税の問題
Cyber空間を利用し巨大化した多国籍企業のGAFAのことを多くの方は知っています。彼らは、電子商取引で世界を制覇してしまいました。そして、彼らは世界のタックスヘイブン地域を使って、過度な租税政策を行なったために、各国の徴税権を巡って問題視されてきています。それが過度な租税回避であったのか合法的な節税対策であったのかは明確な線引きもなく判断は難しい。。。
特に、在庫をもたない彼らは、そのかわりに複製できる無形資産を所持していることから、その無形資産のDCF評価については問題を呈し、アマゾンの‘米国’VS‘欧州’の無形資産評価の訴訟は耳に新しい事例です。

Cyber空間で価値を生んでいる企業は、他国でサービスを提供し利益を上げているため、この利益の徴税権や、資産、雇用はどの国に還流するべきなのか。。このような利害に各国は躍起になっており、Cyber空間のシステム分散化により、Cyber空間から得られる経済利益はだれのものだろうか。。徴税国はどこであろうか。。とますます世界は揺らぎ始めています。

一方、デジタル経済はIT企業に物理的な拠点がなくても商取引を可能にし、例えば音楽のダウンロードは恒久的施設(PE)がなくても商材は越境し取引ができます。この場合は関税もとおらない上、国際課税ではPEがないと課税できない状況を生んでしまいました。

その背景を受けて、G20はデジタル経済によるサイバー空間活動へ課税することを狙い、2018年欧州委員会は欧州連合においては、google,Facebook,Amazonを対象とする新しい課税ルールを提案し、すでに欧州の数か国は独自にデジタル課税(DST)を導入しています。そしてOECDのBEPS行動計画1では特に付加価値税へ傾注、直接税をやめデジタルPE、源泉課税、平衡税が議論されています。

さらに2019/2に、OECDは“経済のデジタル化に係る税務上の課題への対応”の公表で、第1の柱として①英国案のユーザー参加型課税方式、②米国案のマーケテイング無形資産課税方式、③インド案の重要なプレゼンス課税方式という3つの案を検討対象とし、継続協議しています。いずれもデジタル課税からの課税収入の恩恵を自国に取り組むことを中心とし、各国では意見(利害)が対立しています。場合によっては、今までの国際課税の基本原則である所得課税、ネクサス、PEは変更されるかもしれず、もしかしたら・・先々は国家主権を超えた租税協調が現実化するかもしれません。

*ここで、筆者としては、国際租税が一番Cyber空間を現実的にとらえていると考えています。国際課税は、先の“B”のような情報空間の不確かなものを明らかにして課税しようとするのではなく、Cyber空間から実現された利益をとらえて、課税方法を検討しているからです。抽象論ではなく一番現実問題をとらえていると思っています。

~ ★Cyber次元からの資産はだれのもの? 相続ができる人はだれかな? ~
米国では、自分のサイトに書き込んだ個人情報は、自分のものではなく、サービス事業者の所有財産とされているので、業者がそのデータを売買できてしまいます。つまり米国では自分で書き込んでいるのに本人のものではないため、突然サイトが消されたりしてしまっても所有権がないためあきらめざるを得ない事になります。
資産価値のあるデータが最終的にだれのものになるかは国によって異なりますが、一般的には所有権とは“占有権と処分権”の2つを兼ね備えなければ所有しているとは言ない事になります。両者を立証しなければ自分のものにならないのです。

== Cyber次元からの相続財産で興味深い事件があります ==
◆デジタルコンテンツ所有権の相続
2012年にドイツで不審な死を遂げた子供の死因を突き止めるために、FB社に対して閉鎖された子供のFBアカウントの開示を求めたのですが、FB側はプライバシーの保護により開示できないとしたのです。両親は「アカウントは手紙と同じようなものであり、相続開始で両親に戻すべきもの」として開示をもとめ、一審ではドイツ相続法でカバーできるとして勝訴したのですが、控訴審ではドイツの憲法では通信のプライバシーは保護されるとして棄却されました。しかし、2018年7月最終的に連邦裁判所は、「手紙は日記と同じで相続人にわたされるものでありデジタルコンテンツでも差別できない」として両親が逆転勝訴したのです。

相続は、人の死亡によって、その人に属した財産上の権利義務を相続人が受け継ぐのですから、FBのアカウントに財産権利を認めたことになったのです。その後、2019年4月にFB側は亡くなった方のプレゼンスを大幅に認める方針をとり、相続人はアカウントを管理できるようになっています。ほかのSNSの場合も所有権の確認が必要となるでしょう。

◆パスワード不明相続事件
2019年2月にはカナダで、暗号通貨取引所の創始者が死亡したことにより9万人程度からの基金から1億ドル以上の資金を回収できなくなった事件がありましたが、創始者しかパスワードを知らなかったために、顧客への返金や相続税が問題になっています。

◆遺言書の必要性
このように、Cyber次元からの資産の相続は、現実的に十分あり得る問題になりました。
相続人にとっては、被相続人の情報はSNSのデジタルコンテンツであっても、きっと評価できない程重要なものに違いありません。
現実問題として、これからは遺言書に暗号資産の取引所やパスワード、デジタルコンテンツの所有権意思表示を明記しておくことは必要であり、これらは残された遺族への配慮になるのでしょう。

** このようにCyber空間がもたらす問題は、構成要素の “A” の側面ではなく、構成要素の “B” の資産の側面だったのです。
”B” は PCやネットワークの上で交換される電気信号に変換された情報であり、サイバー空間を構成する要素のうち、地理的な制約を受けないものでした。しかし、それが故に、実世界に顕現すると多くの問題を引き起こしているのです。

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5. Cyber空間の本質に迫ってみた!!
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最後にこちらの5.では、上記1.~4.「のCyber空間」をとりまく現実から離れて、「Cyber空間」を筆者が抽象的に考察したものです。

~★ Cyber空間は、ブーケのように他の4つの空間を包んでいる ★~
Cyber空間は、「陸」「海」「空」「宇宙」と並ぶ新たな空間/領域とされていますが、本当はCyber空間は、情報通信技術上に築かれたものであり、これら既存の4つの空間/領域とは性質を異にしているのです。

そして、一般的にCyber空間は、「高次」から4つの国家領域空間をそれぞれ支配すると言われていますが、筆者はブーケのように4つの空間を包括していると考えています。

世界の国家間で争われてきているこの4つの空間/領域の各エリアは、人類が知覚できる3次元の物理的な世界でした。
しかし、Cyber空間の先にあるのは、記号と暗号の「Cyber次元(筆者の造語 注①)」の世界であり、ここには点も線も面も形も時間もない世界で、”在るでも無いでもなく” 混沌としており、少なくても空間/領域の概念は通用できないと思っています、それは0.1.0.1のアクセス信号しか開けられない魔訶不思議な次元なのです。

現在、世界ではCyber空間の主権をどうするかを争っています。争っているのが情報空間のことで筆者が言う「cyber次元」を指しているのであれば、結論として言えるのは、「Cyber次元」は私たちの知っている次元とは異なる次元であることを認識する必要があろうと言うことを考えています。
実際にデータ資産が生まれる素の「Cyber次元」には空間はないので、広がる、増えるという概念もなく、いわばこの「Cyber次元」は全世界の共有次元であり分けようがないと筆者は考えているのです。
Cyber空間の構成要素のひとつである 情報は、「Cyber次元」にアクセスしなければ実世界に現れないからです。

Cyber空間全体は、上の図のように、今までの国家主権の対象である領域の4つに空間に影響を与えているため、支配権が議論されているわけです。

~★ 異次元の扉からの資産 ★~
このようにサイバー空間は、「目にみえるインフラの物理的世界」と、「目に見えない異次元(Cyber次元)」からできていますが、海底ケーブルの先にあるこの「Cyber次元」は暗号と記号の世界で、普通はだれにも認識できず、常識ではわからない異次元の世界と言えます。

サイバー空間の先の「サイバー次元」の入り口にたどり着いても、その異次元の扉を開く鍵は唯一「アクセス」と言う行為だけになります。つまり、異次元に「アクセス」した瞬間にそれはデータ資産となり、人々がはじめて3次元で価値を手にすることになるのです。

さて、PCを制御するデジタル演算は0.1.0.1…のビットを情報単位としています。これにより情報の送信には時間と電力費用が多くかかっています。将来、量子コンピューターが実用化されるとこの問題は解消されると言われていますが、なぜ量子コンピューターはデータ送信の時間がかからないのでしょうか。。

それは量子ビットを保持する粒子は“粒であり波”である特殊なエネルギーを使うのでエネルギーが節約できるからです。。量子は“波と粒の重ね合わせ”と言われており、一層私たちの常識を超える話になりそうです。
(参考:シュレディンガーの猫 https://atarimae.biz/archives/6734
アインシュタインは「空間と時間は密接に関係しており、究極的には同等である」と言っています…まさに時間概念のないCyber空間の領域への手掛かりになるのではないでしょうか。(参考:特集「時間結晶」/日経サイエンス2020.04より)

◆◇ おわりに ◇◆

筆者は、5.で上述し考察した「サイバー次元」は、私たちにとって全く新しい出来事ではないような気がするのです。なぜなら、私たちは最古より「Cyber次元」とは、また違う異次元へアクセスをしてきています。それは亡くなった方への深い祈りであったり、神仏への強い願いであったり、時々起きるシンクロニシティ(予期せぬ出来事の同時性)であったりと・・、昔から私たちは実世界以外の異次元へアクセスをし続けていると言っても過言ではありません。

そして、テクノロジーは私たちのこのような経験を追いかけるようにして、きちんと裏付けてくれ、わかるように形にし、驚くほど明らかに異次元への扉を開いてくれています。
近未来、自分の過去のデータを友達と交換したり、未来記号を変換したり、体を分解して他国へ飛べるSFのような別の異次元もやってくるかもしれません。
そうすると税関を通らない音楽CDやデジタル資産のように、人類にはパスポートも国籍ももはや意味をなさなくなる日が訪れるかもしれませんね。

丸い青い地球が誰にでも等しく重力を施し、透明な空気が誰にでも等しく与えられるように、「Cyber空間」はどのような企業や、個人に対しても等しくビジネスチャンスを与えようとしてます。これはCyber空間から無形の遺産を得られることを意味しているように思えます。

(文責 金田一 喜代美)

注①)Cyber次元とは筆者が作った造語である。Cyber空間の先にある記号と暗号の世界はCyber空間ではなく「Cyber次元」と考えられないだろうかとの着想である。それは空間ではないので、点も線も面も形も時間もない世界としての事実だけが存在している。アクせスするまでは “無”の状態であるため空間やエリアではなく異次元ではないかと考えている。

【参考文献等】
*本郷孔洋の経営ノート2019 ~いいね!ワールドと個店経営の時代~ (東峰書房)
*国際相続・贈与がざっくりわかる“海をわたる次世代資産 (辻・本郷 税理士法人)
*55歳になったら遺言を書きなさい(辻・本郷 税理士法人)
*サイバー空間を支配する者(日本経済新聞出版社)
*サイバー空間における覇権争奪(社会評論社)
*サイバー攻撃の国際法(信山者)
*コンピュータサイエンス図鑑(創元社)
*サイバー戦争:日経サイエンス 2020.06
*実験で迫る量子世界の深奥:日経サイエンス 2019.08
*2つの粒子で世界がわかる(講談社)
*量子技術の研究開発で工程表、原子の波で量子世界を探る:日経サイエンス 2020.4
*時間結晶:日経サイエンス 2020.04
*デジタルプラットフォーマーに対する規制(日本):国際商事法務 Vol.48,No.3 2020
*デジタルプラットフォーマーに対する規制(欧米):国際商事法務 Vol.48,No.3 2020
*サイバーセキュリテイと宇宙ビジネス      :国際商事法務 Vol.48,No.5 2020
*デジタル経済課税の最新状況と今後の動向:月間国際税務Vol.40 2020.04
*デジタル経済と税 (日本経済新聞出版社)
*デジタル資本主義(東洋経済)
*イノベーションと税制(有斐閣)
*GAFA (東洋経済)
*”Public Consultation Document: ADDRESSING THE TAX CHALLENGES OF THE DIGIT ALISATION OF THE ECCCOUNOMY”2019/02