〇●〇 「うらしま太郎」が残したTo Do 〇●〇

どのくらい深い海の中にいたのでしょうか。。

うらしま太郎は、陸上で腕のいい漁師でしたが、三日三晩魚が釣れない時に五色に光る亀と出会い、その亀によって竜宮城に招かれたのです。亀は海神の娘の乙姫でした。

竜宮城は、赤や黄色の鯛やひらめが舞い踊る美しい夢のようなところで、
うらしま太郎は、この竜宮城で、乙姫やおいしい食事に囲まれて楽しい日を過ごしました。しかし、気が付くと深海の中で3年の月日がたってしまい、陸地に残してきた家族が心配で帰ることにしたのです。
しかし、陸では時はすでに数百年も経っていました。

そして乙姫から別れの時にもらった玉手箱をあけると・・白い煙が立ち込め太郎は老人となってしまったのです。
そのあとうらしま太郎は深海ではなく、空へ鶴となって飛び立ってきいきます。

このような浦島太郎伝説の文献は『丹後国風土記逸文』、『日本書紀』や『万葉集』巻九巻、『御伽草子』にも記述されておりますが、内容はそれそれちょっとずつ違っています。時代によっても変化しています。

~*伝説の神秘性 ①~
物語りの竜宮城は、古代日本で信仰された海の彼方にあるとされる、蓬莱(とこよのくに)であるとも言われています。
蓬莱は、永久不変や不老不死、若返りなどの理想郷として日本神話の他界観をあらわす代表的な神の世界の概念になっているのです。。

・・・そして、玉出箱に入っていた白い煙は、なんと「うらしま太島の時間」が収められていたというのです。
乙姫は、なんと ”時間を煙にして” 太郎に贈っていたとは…。


実は、私たちも近い未来は「竜宮城」に行くけるようになるかもしれません⁈

私たちが住む地球は約70%が海であり、そのうち深海が80%を占めています。その深海には、食料や、エネルギーなどが豊富に貯蓄されており、人類が今直面している食糧や水不足、エネルギーや資源、CO2削減などの様々な問題を解決できる大きな可能性が秘められています。

日本の国土はあまり広くないですが、地球上の海をあわせると日本の領域主権の表面積は世界6位、海の深さまで入れると世界4位にもなります。

そのような中、清水建設はこの海のポテンシャルを生かすことを考えたのです。
それは、大気から海底までを構築物で統合することで深海の価値を広げる夢のある都市計画であり、同社は、日本を深化させる《オーシャンスパイラル都市計画は2030年》の技術開発を進めています。

とりわけメインの《 BLUE GARDEN 》は、直径500メートルの球体の街で4000人以上の人を収容でき、「温度変化の少ない快適都市」「台風も地震もない安全都市」「地上より酸素の濃い健康都市」として注目されています。

更に、水深3000メートルまでたどり着くと、深海プラントのほか、深海域での養殖、深海冷水と海洋表面の水との温度差を利用した海洋温度差発電や、深海の圧力差による海水の淡水化も計画されており、深海の持つ恵みに浸れる生活が広がります。
うらしま太郎のように、深海のユートピアに行ける構想実現に、期待感が強まりますね。
★ しかし行ってもけっして玉手箱は探さないでくださいますように。

(清水建設HPより https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content01/ )

= 深海での経済取引の消費税は? =
日本の深海で行われる経済取引は、国内取引になり消費税がかかります。しかし、領域外でとれた魚介を売買する場合の消費税は国外取引になるケースがあります。(消2①十、4②、関法2①三、②)

~*伝説の神秘性 ②~
しかし、浦島太郎はなぜ美しい乙姫や竜宮城からはなれてまで、陸地に戻ってきたのでしょうか
伝説では、両親に会うためとありますが、本当にそれだけだったのでしょうか?

もしかしたら腕のよい漁師として誇りがあった彼は、自分の大事な舟や漁網、漁業自体への思い入れや、現世でのやり残したことをクリアするための責任感で戻ってきたのではないかと言えなくもないのです。

生命の起源が海であるという研究もあり(参考書籍)、そうであるなら、
亀と一緒に深海に行ったうらしま太郎は、すでに “帰らぬ人” になっており、その亡くなった魂がやり残した「To do」を見届けに深海から蘇ってきたのではないかと筆者は思うのです。

~命は尽きるけれど、事業は尽きない~

うらしま太郎伝説から、やり残したことが気がかりで蘇ってきた彼の思いが筆者に伝わってくるようです。
これは、きっと事業者万人が同じような気持ちを持っているのではないでしょうか…。

★築いてきたもの、守ってきたものを次世代につないでいくことが事業承継の想いにはあります。

Ⅰ.事業承継の基本的な対策
実際のところ、オーナーが事業承継に着手したきっかけと、具体的な対策は次のように豊富にありますので着実なTo Doをこなすことで心配しなくてよいようになっています。

➣ 事業承継は、実業家の“転ばぬ先の杖対策“とも言えるのです。

*役員退職金を使う ⇒(衰え)そろそろゆっくりしたいな。。と思うとき
*持株会   ⇒(結束)家族で仲良く事業をしてほしいとの思いから。
*金庫株   ⇒(準備)分散した株式を集約ししたい。。
*生命保険  ⇒(遺留分)みんなにそれぞれ配分したい。。
★民事信託  ⇒(後継の異なる方法)家族で信託を設定する!
*納税猶予  ⇒(納税)株式を後継者に贈与すると贈与税を回避したい。。
*M&A   ⇒(後継者さがし)後継ぎはいないけど事業を継いでほしい。。
*持株会社  ⇒(資金)老後資金のために資金がほしい。。
★資産管理会社 ⇒(総合的に)相続にも節税にも経営分離にも利用したい
ほかにもMBOやファンド。。など多くの事業承継対策があります。

➣ さらに「技術やノウハウ」、「顧客や人脈」、「理念哲学」、「組織」、そして「稼ぐ力」等のように、お金はかからないけれど「承継」させるものはたくさんあります!
事業承継には夢のあるTo Doが多いのです。

★~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~★
上の事業承継対策アイテムの中から、最近ご相談が増えてきた「資産管理会社」と「民事信託」につき次に記載しました。

Ⅱ. 資産管理会社で事業承継をする
産管理会社とは個人資産を個人名義ではなく、法人名義で保有する為に設立される会社で、「所得税の節税」だけでなく「事業承継と相続対策」そして「経営とビジネス」にも役にたちます。
(※資産管理会社とは、一般的に総資産のうちに有価証券や不動産などの特定の資産が70%以上を占めるように会社等。)

※設例では「合同会社(注1)」を用いています。

1)海外資産の相続プロベート対策に
2020年の税制改正により、個人が所有する海外不動産の簡便法の減価償却メリットがなくなったために、海外不動産を法人で購入もしくは所有する動きが活発化しています。海外不動産を資産管理会社に持たせることは、税金の効果とは別に、米国や香港、英国などのように個人の相続プロベート制度がある国では、その対策にもつながり法務的にも有効な対策となる可能性があります。

2)資産管理会社で家族ビジネスと所得税対策効果
株式や不動産をオーナー個人で所有すると、最高税率50%以上で税金がかかりますが、資産管理会社で資産を所有し、親族を役員や従業員にして家族でビジネスを行うと給与を支払うことができるようになります。
こうすると、生前に家族個人に資金を贈与するより低い税率で所得移転ができることになります。

3) 事業会社所有の株式を資産管理会社へ移転する場合のメリット
事業会社の株式を、オーナー一族でもつことは、経営権が安定しやすいのですが、親族が株式を手放すことも考えられるため、間に資産管理会社を挟んで株式を持たせる方法があります。これだと資産管理会社が株式を保有していますので、親族は換金できず、相続が発生した場合も遺産は資産管理会社の株式なので、事業会社の株式が流出するのを防げ、株価対策も行いやすいというメリットがあります。

4)オーナー所有の資産を資産管理会社へ移転時の税金
オーナー所有の資産を会社に移転するときは、基本的には時価で譲渡します。そして取得価額と譲渡価額との差額に対して税金がかかるので、その税金を自己資金で負担できるかどうかがポイントになるとも言えます。

★税金は、譲渡所得(譲渡価額―取得価格)×20.315% で計算されますので、ざっくり下記のような税金になります。
(※ 基本的には時価で譲渡しますが、もし時価より低く譲渡したとしても時価で売買したとみなされ税金が計算されます。)

                                 (表:筆者作成)

5)資産管理会社が配当を受ける場合
事業会社からの配当を受ける側が、個人なのか資産管理会社であるかで税金がことなります。個人が配当を受けると最大54.945%の所得税、100%保有の資産管理会社であれば課税がないのです。なぜならば資産管理会社は「受取配当金等の益金不算入」制度があるからと言えます。これは、一旦事業会社で課税された所得が二重に課税されないことを目的としているからです。

従って、事業会社から配当する場合には、株式を個人から資産管理会社会社へ移管することで、配当に対しての節税になると言えます。

6)オーナーに相続が発生した場合
資産管理会社で株式を保有していると、相続税の計算上、株式を評価する際に、評価差額に対する法人税額があらかじめ控除されるので評価額が下がる効果があります(財基通186-2)。

                             (参考:意思決定できる事業承継P26より)

★たとえば、相続税評価額の10億円で相続が起きた場合を想定します。
個人で保有だと・・・相続税額 5.5億円 :(時価10億円×55%
資産管理会社で保有だと・・相続税額3.5億円:(10億円―(10億円×37%))×55%

となるので相続税の差額は、単純計算で△2億円減少します。含み益に対する法人税額の効果があるからです。
しかし・・ もし相続税だけの対策で検討するのであれば、事業承継税制を活用することでも、相続税の納税が猶予や免除されるので同時に選択の余地があります。

7)資産管理会社のデメリット
株式などを売却した場合、個人で売却だと20.315%で済みますが、法人が損失でなく利益があると実行税率で33%程かかるので、この場合は個人での売却が有利になります。
また、節税だけの目的で資産管理会社を持つことは、税務的に否認されるリスクもあるかもしれません。資産管理会社であっても、あくまでビジネスを行うことが重要なのは言うまでもありません。

(注1)合同会社とは、会社組織のひとつであるが、株式会社と比べると次のような部分が異なる。

                                        (表:筆者作成)
➣ 合同会社は設立費用が安く、税務取扱いは株式会社と同じである上、柔軟的な設計ができるため、近年増えつつある。

Ⅲ.民事信託で事業承継をする
次に、民事信託が密かに広がりつつありますので、こちらを簡単に記載します。
民事信託は遺言書と同じ効果をもちながら、2代目以降までその効果を及ぼす設定もでき、オーナーの目が黒いうちから親族の受益の配分を見守ることができるのがメリットと言えます。
民事信託は、親子や家族で行う財産の管理や承継を発揮できる信託の一種です。

例えば父のもっている不動産を、長男に信託すると、その財産の名義は委託者(父)から、受託者(長男)の名義になり、その信託財産の経済的価値は受益者のものになり、税務上は受益者が信託財産を有しているとされます。

★信託をする際に受益者には贈与税がかかるので、時価の低いときに行うことがポイントであり、もし受益者を設定しない場合は、受託者や委託者に所得税や贈与税が行われることがあります。受益者の信託の効力が相続(遺言)によるものでしたら相続税の対象になります。

1)米国相続の独特のプロベート対策として
米国も信託を設定して遺族に財産を残す方法があります。(※ 香港、英国、豪州などにもある制度)
米国で所有する財産をトラストの《箱》にいれて、Trusteeがそれを管理するのです。(※ ただし日本の財産をいれることはできません。)
プロベートは、日本のような戸籍謄本がないため故人の家族や親族関係を確認するための作業です。

~ トラストのメリット ~
裁判所のプロベートを回避することができます。そしてトラストの指示に従い、遺産を速やかに遺族に分配することができます。そのため、長期にわたる時間と高額な弁護士費用を節約することができます。また、遺言書と異なりトラストは開示されませんのでプライバシーを守ることもできます。

2)トラストは米国籍が必須
米国籍のトラストの要件を満たす必要があり、これを満たさないと外国籍とされ報告義務が重くなります。 その要件は、
1.米国の裁判所がトラストを管理監督できること
2.米国居住者または米国籍保有者の1名以上が、トラストに関するいかなる重要な決断も下すことができる  ことです。

(See : A trust is a United Stakes person if
1. A court within the United States is able to exercise primary supervision over the administration of the trust (court test); and
2. One or more United States persons have the authority to control all substantial decisions of the trust (control test) )

従って日本国籍の方が、米国でトラストを作成する際は、永住権をもつ方や、米国籍の知人、銀行等などTrusteeを探し指定することが必要になります。             (出典:トラストを活用したアメリカ資産の相続より)

3)米国トラストの相続
トラストの委託者である方が亡くなったあとは、この被相続人はソーシャルセキュリテイ番号が消滅しますが、相続税の申告「FORM1041」を提出する必要があるので、個別にEmployer identification Number(納税番号)を取得する必要があります。
同時に、被相続人が日本人であれば、納税義務を判定して日本でも相続税の申告が必要になる場合があります。

 

 ★国際結婚の相続・贈与税★
さて、うらしま太郎のような国際結婚をすると、相続や贈与があった時の税金はどうなるのでしょうか?
 《乙姫》    ➣ 日本の財産を相続すると乙姫は日本で相続税がかかります。
 《うらしま太郎》➣ 竜宮城から財宝をもらったらうらしま太郎は、日本で贈与税を払わないといけなくなります。
 《例外》    ➣ ただし10年以上日本深海以外に在住していた場合は、対象から外れる場合もあります。

 

   *** おわりに ***
幼い頃に触れた伝説や民話も、大人になって思い出すと、新しいものが見えてくることがあります。うらしま太郎もそのようなお話のひとつだと筆者は思っています。

~*伝説の神秘性 ③~

写真
竜宮城のあるところはどのくらい深い海だったのでしょうか。。

現実的なことになるのですが、もしかしたら水深50mくらいのところで、熟練ダイバーなら十分潜れるところだったのではないかと思っています。

➣ その理由なのですが・・・、
水の中では、空気中と光の見え方が異なっており、通常の光は白 色ですが、水深が深まると赤、オレンジ、黄色、緑の順に色がひとつず吸収されて、人間の目にみえる色は減ってしまい、最後には青だけ残り深海では黒しか見えなくなります。伝説にでてくるきれいな鯛や平目などの魚たちは、水深200mくらいに泳いているので、人間にはカラフルではなく黒にしか見えないのです。
そして光の屈折によって同じものも33%拡大して見えるので、陸でみるより近くに大きく見える上、音は空気中より4倍の速さで伝わるので、深海でなくても水中ではとてもにぎやかな現象が起きます。

もしも、竜宮城が大きく美しくにぎやかなところであったなら、それは深海ではなく50mくらいの深さだったのかもしれない。。。と。

★ みなさまは竜宮城のある海の深さをどのように思われますか?

~*伝説の神秘性 ④~
うらしま太郎伝説は、海の彼方に理想郷を観想した、今に生きる人類にとっての夢物語です。
一方、楽しく平和で豊かな生活は幸せのようにみえるけれど、実はたいくつであることも示唆しているようにもみえます。

また、この伝説には海に囲まれている日本に渡来人が来はじめた時代にあっては、異国との文化の違いや、国家主権の確立から、海外への渡航や異民族との結婚を制限するという治世者による政治的な意図が隠れていたかもしれません。

そして ”うらしま太郎” 伝説からわかるのは、陸地での命は限りあるもの、そうであれば現世の時間の流れは速いですから、次の世代へのバトンタッチの準備を始めるのは今であり、現代においては着実に「無形資産の価値の事業承継」を実行しておくことはますます重要と言えることでしょう。

うらしま太郎も、気がかりだったTo Doをクリアすることで、美しい竜宮城に戻ることもでき、きっと安心して乙姫との国外結婚が叶って、深海の理想郷では永遠不変のゆっくりとした長い時間を楽しめるのではないでしょうか。

文責)金田一喜代美

※ このBlogは2020年6月現在の税法に基づいて記述しておりますが、
実際に税務・法務スキームを策定する場合には専門家にご相談してください。

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《参考書籍等》
*うらしまたろう:いわさきちひろ編 (偕成社)
*2020年度版 事業承継の安心手引 (辻・本郷 税理士法人)
~主要対策と関連税制のポイントを詳解!~
*資産承継のためのわかりやすい信託活用術 (〃)
*意思決定できる事業承継         (〃)
*令和2年度税制改正のポイント        (〃)
*トラストを活用したアメリカ資産の相続     (〃)
*国際相続・贈与がざっくりわかる        (〃)
~海をわたる次世代資産~
*国際取引の消費税 QA (税研)
*深海―極限の世界    (講談社)
*現代の海洋法  (有信堂)
*生命の起源はどこまでわかったか (岩波書店)
*深海 ABYSS (普遊舎)
*OPEN WATER DIVER (PADI)
*日経サイエンス202007 News Scan P19